1980年のイギリス。不況での政策は、
「緊縮策で失業が増えると失業保険給付で政府の支出が膨らむ。一方で税収は増えないので政府の赤字はなかなか減らない。」
「不況の時には、公共支出を増やす政策をとるべきだ」
「穴を掘って埋め戻すだけでもよい」だそう。
1930年代の大恐慌のときのイギリスのケインズさんによる不況対策は当時の常識だったよう。
だけどその常識の逆を行ったのが79年の保守党サッチャーさん。
不況とインフレのスタグフレーションに対して、金融引き締めと緊縮財政で立ち向かった。
普通に考えると、増税して歳入が増えても経済が冷え込んで黒字額が縮小してしまいそう。
実際サッチャー政権の初期はそうだったみたい。
だけど82年以降はプラス成長、80年代後半には財政の黒字化も達成した。
ただし10%を超える失業率が6年続くという痛みを伴った。
こういうの風に景気を立て直すことを「非ケインズ効果」ていうらしい。
当時の政策は、
- 付加価値税の増税
- 所得税と法人税の減税
- 福祉支出の抑制
- 国営事業の民営化・規制緩和
税金の支出を抑え、民間に稼がせるという、財政再建と成長とを上手く実現できた。
痛みに耐えてこの初心を貫いた政権の退陣後は、15年も好調な景気が続いた。
この政策のミソは緊縮策によって財政の先行きを明らかにすること。
緊縮するけど未来はこうなる、と国民が安心感を得られれば、
財布のひもがある程度緩んで消費が増える、ていう仕組み。
他にデンマークとかアイルランドでも実例があるらしい。
現在の日本では、政府がそれを期待しているふしがある。
「社会保障と税の一体改革 8つの疑問」という政府のパンフレットでは、
増税したら景気が悪くなるという懸念に対して、
財政健全化によって国民の不安がなくなるから安心して消費ができる、
と書いてある(らしい)。
でも日本国民が安心しきれてなくて、その原因は、
消費税の増税が決まったあとすぐに整備新幹線3区間が起工されたり、
三党合意の自民党は国土強靭化として10年で200兆円、
公明党は「防災・減災ニューディール」として10年で100兆円を投資する、
と表明したりと、歳出の打ち上げ花火が行われたこと。
そのうえ、肝心の社会保障は「社会保障制度改革国民会議」として今後議論される。
解散・総選挙の時期もはっきりしない。
だから安心しきれない。
確かに国民は不安だから必要以上に蓄えようとしてる気もする。
自分を顧みても、日本人は不景気でなくても元から貯蓄しようとする国民だとも思う。
だけど国民年金にしても、もらえないと思うから払わないんであって、
その不安をなくすような保証をしてくれればもっとみんな払うと思う。
増税だって社会保障に全額費やす、って政府広報のTVのCMでも言ってるけど、
法律の中にはその他の用途にも使えるような文言が入ってるっていうし。
そもそも社会保障がどこまで保障されるかが明らかになってない(少なくとも伝わってきてない)のに、増税したから将来の財源あるし安心して、ていう方が無理がある。
増税が必要そうってことは、メディアがあおったのもあって大体みんなもう理解してる。
いやだけど。
でもその先のことをはっきりさせないと反対するよみんな。
日経に最後に書いてあったことは、
「消費増税の前にやることがある」っていう政治家は、法律が成立した以上は方針転換すべきで、
増税するからにはこうしよう、と呼びかけるべきだ、ていうこと。
今になってなお増税を喰い止めようとしても混乱が起こるだけでメリットはないよきっと。
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